コンサートで印象深かったこと Ⅰ

まずは、池上實先生の芸歴60周年記念演奏会。
宮城道雄の「日蓮」をやるというので、聴いてみたかった。
池上眞吾さんのソロもさることながら、総勢150人の合唱はやはり圧巻でした。
演奏会全体を通して、お筝では帯名久仁子さん、尺八は小湊昭尚さんの演奏が印象深かったです。
小湊さんの尺八には景色を感じました。色が見える気がしたんです。
帯名さんは、独奏はなかったので、音を単独で聴くことはできなかったですが、特に「日蓮」ではその表情や所作から曲そのものがあふれ出ているのがわかるんです。「歌っている」のが伝わってくる。しかも可愛い。

田嶋先生リサイタル。
ここでは田嶋先生の尺八と、帯名久仁子、平田紀子、澤村祐司の3氏のお筝との共演。やっと帯名さんの生音が聴けたわけですが、見事です。人柄を感じます。音に冷たさがないんです。それと、リズムの切れのよさをひしひしと感じました。やはり大好きな人の一人。澤村君もやっぱすごいですね。湘南の春でご一緒してもらいましたが、後で考えると、彼はソリストとしても一本立ちしているけど、とにかくアンサンブルが組みやすいんです。彼からは何の力みも感じないし、こちらを煽ってくる感覚もないんだけど、全体がごく自然にまとまっていく。やはり特別な人なんだと思います。
平田さんについては、前回記載しましたので、略します。

田嶋先生の尺八も素敵だった。
本曲とはまったくかけ離れた世界だけど、やはり聴かせてくれます。
ただ、「竹籟五章」では、演奏前に一章ごとの説明と、尺八の技法の説明を聴いたため、つい耳が技法を追ってしまい、なんだか「楽しむ」のが抜けてしまいました。