第8章 旅立ち

2004年12月21日

今日、「クレッセント」の録音を聞いた。
田嶋先生の持つ「空間」の広さを感じる。
ぐーっと遠くまで広がっていく。
私の音も、それに引っ張られて、広くなり、厚くなっていっている。

感性とか、センスだけの問題なんだろうか。

演奏中は怖かったピアニッシモ。
すーっと、遠くまで伸びていた。
ちゃんと聞こえていた。

2004年10月28日

この夏、家を建てることになったため、ハウスメーカーに通い詰めになっている。
毎日寝不足。
その間、もちろん演奏会あり、発表会あり、しかも結婚式あり、はてはお葬式まで。

21日は田嶋先生のリサイタル。受付。
リハーサルを聞いていたら、先生が音のチェックをするようにと言うので、見た目にも気になるところを話した。本番はよかった。

今回は、一人芝居とのコラボだった。
いい面もあるし、考えてしまう面もあったな。

2004年7月15日

門下生の発表会が終わった。

またしても、ありえないくらいの緊張をした。

手は平気なのに、全身汗びっしょり。ブラウスがビニールのように全部へばりついた。
前半ぎこちなく、力入らず、糸違いをして・・・・・
先生の尺八の音に全身で耳を傾けつつ、「自分を開放」し、「自然体」になろうと必死になっていた。
悔しい。力、ちから・・・・入らない。
ピアニシモ・・・・こんなに小さい音、聞こえてるかなぁ。伝わっているかなぁ。

フレーズの中で、盛り上げようとすると最後の1拍を加速してしまう。
心穏やかに、だがパッションして。
弾きながら、いろんなものに、勝手に縛られていたことを実感した。
演奏としては、まったく駄目だけど、心の置き方は変わっていた。

2004年6月8日

門下生発表会のプログラムを渡された。
演奏順が1番になっていた。
ん~~~~~!

2回目のレッスン。
自分の感じるままに弾けた。
「誰か」「何か」のコピーじゃなく。

駄目だしは出なかった。

このまま本番ができたらと思う。

2004年5月15日

「クレッセント」。
1回目のとき、なんであんなに緊張したのか、ずっと考えつつ練習していた。

普段トチらないところでトチる。普段どうしようもないところがスッといく。強弱もなにもかも普段と逆になった。だから超焦った。舞い上がった。

1回目のレッスンまでの曲作り。

「相手はプロだから、ここはこんな風に弾くと納得してくれるかな?
この弾き方は素人っぽいかな?
こんな風に弾いたらカッコ悪いかな?」

結果言われたこと。

「楽譜にとらわれない
自分を解放する
弾きにくいなら譜面を書き換える
世界を広く持つ
一音に思いをこめて、思い切って弾く」

なに?これ
ずう~っと考えていて。

わかった。
1回目レッスンに行くまでの私は私じゃなかった。
人のことお構いなしっていうんじゃなく、私らしく弾くことにストップかけていた。
自分の音楽観に自信がなかったんだ。
だれも百点の答案を持って来いなんていっていないのに。
それなのに、私は下手なカンニングしてた。
そこに「私」はいないわけで。

「私」は「どう弾きたいか」
作り直している。