1997年5月20日

1997年5月20日

結局、女史の音に頭の中を真空状態にさせられた。
あの、音による語り。これでもか、これでもかと突きつけてくる。
あれほど、音楽以外の音が混じらない空間にいたことはない。
あの息苦しさ。
息苦しいと思うのは、頭の中に俗世間があるからで、そこへ逃げ込もうとしているからで。
俗世間のなかで、生ぬるいお湯につかって、ちっとは判ったつもりになっていたからで。
初めっから聴く耳なんて持っていなかったんじゃないか。聴く心なんてなかったんじゃないか。
わかってる、感じてる「つもり」だけだったんじゃないか。
現実に自分も弾いているのに、別物扱い。
しかーし!

手痛い目に合わされて、アタシのマゾヒズムは徐々に快感に変わり始めているのです。

答えは筝の中にあると思ったから、敢えて浜さん宅の音合わせに行った。
またそこで思い知らされている。
溝口さんの上手さに。
彼女は攻撃型ではないから、そこへ呼応しようと思ったら、女史に対してよりも更に難しい。
でも逃げたくはない。