心機一転・・・・

「最後の舞台」のつもりの、2015年の茅ヶ崎三曲会の演奏会が、結局心機一転のきっかけになりました。

プログラムを見てすごくビビりました。

私たちの演奏の次が、池上眞吾社中という順番。
池上社中は舞台袖に控えているから、確実に私たちの演奏は聴かれます。
眞吾先生とは、利根英法記念コンクールのスタッフで面識があるので、気づかれるのは必至です。

でも、「最後」なんだから、はじけちゃえ!!って。
昔感じた「下手でも、聞こえてなんぼ」だと思いました。
「今」の精一杯でいいから、本気で力いっぱい歌いたかった。

演奏終了後、「おつかれ」でスルーが通常。

もし、もし、運がよければ・・・・

「手直しが必要だね」とか、声をかけられる・・・かもしれない。・・・なんて・・・(;;)

結果、とにかく声をめでてくださいました。
「いい声」だって。正式に習いなさいって。

演奏会終了後、帰ろうとしたら、引き止められ、そこでもまた「習いなさい」と。
チョーうれしかった。けどチョー複雑な気分でもありました。

悩んで、悩んで。
悩んで。
悩んで。
習うとしてもつてもないし馬の合う人ってそんなに簡単に見つからないと思う。

眞吾先生なら習ってみたいかも。あの美しい手さばきや、三絃の極め付けの響きが大好き。
もし眞吾先生が教えて下さるんなら、基本のテクニック、その意味、使いかた。古典の成り立ち。歌詞の解釈。唄い方。それらの勉強の仕方。そんなこんなが違和感なく入ってくる気がする。

だとしたら、ほんとにほんとに遅ればせであろうがなんだろうが、チャンスなんじゃないか?
一生、二度とないチャンスって言っていいと思う。

そんな結論に達し、まずは、田嶋先生のところをいったんお休みにさせていただいて、基本を一から教えていただくため眞吾先生に弟子入りを申し込み、許可された次第です。

邦楽四重奏団プレイズ

昨日(1月22日)、すみだトリフォニーホールに、邦楽四重奏団のコンサートを聴きに行ってきました。
洋楽器とのコラボで、下山一二三さんという作曲家の作品の演奏。
邦楽四重奏団の演奏する曲は、私ににとって、かなりハードルの高いプログラムばかりですが、今回は洋楽器とのコラボだったので、また毛色が違って聴く耳も変わるかなと思って。
演奏前にプレトークの時間があるというので、早めに現地到着。

企画の山本和智さんと下山一二三さんによるトークでした。
下山さんと言う人を存じ上げなかったのですが、青森県弘前市のお生まれだということに興味をそそられました。
作曲活動中、能の勉強をされたり、大鼓のレッスンに通われたりと、邦楽にも造詣が深い方でした。
鼓も先生にプロにならないかと誘われたほどの腕前らしいのですが、「邦楽」という枠にはまることを敬遠し、作曲活動に戻られたとか。
とても魅力的な方でした。1930年生まれ。現在86歳。かくしゃくとしていらっしゃいました。

20分後、演奏開始。
・・・・・やはり難解・・・・
ちょっと困った・・・・・

プログラム4曲目に「レクイエム津軽」と言う曲があり、尺八、バリトン、チェロ、津軽三味線のコラボとあったので、ひとまずそこに目標を置いて。
2曲目、3曲目とレベルの高い曲が続きました。
そして、いよいよ4曲目「レクイエム津軽」。

下山氏自身の作詞でもあるので、一部ここに書いてみます。

雪。雪。雪。雪。 (ユギユギユギユギ)
ぼだらぼだらと降ってくる雪。(ぼだらぼだらとふってくるユギ)
のそのそと降る雪。(のそのそとふるユギ)
夜でも日中でも降ってくる雪。(バゲでもシルマでもふってくるユギ)
地蔵様の頭コも(ジンジョサマのアダマコも)

天守閣もやまも川も。(てんしゅかぐもやまもかわも)
雪。雪。雪。(ユギユギユギ)
俺の額さも雪ァ降る。(ワイのナヅキさもユギァふる)
雪の花コ。花コの雪コ。(ユギのはなコ はなコのユギコ)
雪。雪。雪。雪。(ユギユギユギユギ)

弘前サ生まれで、弘前で生長テ。(シロサギサマレデ シロサギでオガッテ)
今ァ 東京ネ居る津軽衆一人。(いまぁとうきょうニァいるツガルシュヒドリ)
寒ぐて、凍れるバテ、(サビぐて シバレルバテ) 
きれいだ津軽の(きれいだつがるの)
雪コ。(ユギコ)
思い出しているノセ。(おもいだしているノセ)

後略

()内は発音です。津軽弁です。
これを朗々と深いバリトンで謳いあげる。
「ゆき」ではないんです。「ゆぎ」でなければ、北国の雪ではないんです。
全編津軽弁。方言のもっている魅力というのか、魔力というのか。私自身北国生まれだから感じるのか。特別な響きです。
いつしか、あのふるさとのしんしんと降り積もる雪の中に埋もれている自分がいました。

プレトークのなかで、山本和智さんが、こんなこともおっしゃってました。
「メルヘン」と言う言葉について。(うろ覚えなので、正確ではないかもしれませんが)
メルヘンというのはドイツ語だそうで。
この「メルヘン」という言葉は、どの国の言葉にも翻訳できないというお話。
ドイツにある、ある深い(であろう)森の中に独りたたずんだ時、恐怖のあまりふと頭の中に浮かんだ光景のみを「メルヘン」といえるのだというのです。
そこでしか、その場所でしか味わえない事象。感覚。
代替はないのです。
「ゆぎ」とおんなじです。

声とことばと尺八とチェロと津軽三味線と。気づかないうちに「コラボ」として、私の中で一体化してたと思います。

年明け早々~風邪菌君との格闘

急に風邪ひきました。
お正月ど頭の大きな仕事が終わって、4日後にダウン。
プシューって。電源とか、エンジンとか、いわゆる「落ちました~」って感覚です。

よく考えれば、前兆は随所にあったんでしょう。こっちが気づいていないだけなんですけどね。

朝食後、急に吐き気、腹痛の始まり。
2日後には、うちで湘南の自主練習。なんとか治さないとまずいんです。

ベットでじっとしていると、風邪菌君がどこにいるかわかります。
結構ちっこいんだけど、たんぽぽの綿毛みたいなやつで、毛の先端全部に、威力のあるカマみたいなものがくっついていて、私の胃の壁を削り取るような動作をします。
その時が「ギーッ!」って痛いわけです。

敵も一仕事終えると休憩に入るらしく、痛みはおさまり、私もうとうと。というのも、痛い瞬間は、耐えようとしてこっちも全身に力が入っているのでへとへとになってるんですね。

菌君は休憩を終えると、仕事を再開します。
さっきの壁はもう壊したので、当然位置は移動しています。
菌君の休憩が終わったことは、私には連絡がないので、うとうとの最中突然痛みが走るのです。
「フンギャー!」。

何分サイクルなのか最早わからないですが、それを繰り返すわけです。

そんな中、漢方薬があるのを思い出し、飲みました。

場所を移動しながら《ガリガリ》、「フンギャー!」の応酬を続けているのですが、菌君も漢方という大きな敵に阻まれ、ほんの少しづつではありますが、パワーが落ちていきます。
しかし、彼らも必死なのでしょう。《ガリガリ》攻撃をやめるわけではありませんから、こちらの「フンギャー!」も規模を縮小しながらも続いています。

時がたち、初めは胃の中にいた菌君が、やがて腸に突入です。
いいんですよ。いいんですけどね。物理的には始まるんです。体外に不要なものを排出する瞬間が。
《ガリガリ》・・「フンギャー!」・・「うとうと」・・「ジャー!!」。これは多忙を極めます。

頑張りました。20数時間の闘い。
死滅し、流れていったたんぽぽの綿毛のような風邪菌君。
色は白だったんじゃないかな。

一番すごいのは誰だったんでしょう。
風邪菌君か、漢方薬君か、はたまた私の肉体か。謎ですが、闘いは終わりました。

一抹の寂しさ・・・・は、ありません。

2015 一年の総決算「ゆる人」

昨年の11月の演奏会で、私の仕事は終わりましたが、その後12月には田嶋先生のリサイタルがあり、とどめには例によって「ゆる人ライブ」でした。

田嶋先生のリサイタルは門下生も出演し、古典から現代邦楽まで幅広いメニューでした。
曲数が多かったのですが、とにかく、楽器は尺八のみです。
他の尺八演奏会に特に行ったこともないので良くわからないけど、すごいことなんじゃないかなって思います。田嶋先生のゆるがない信念あったればこそだと思うんですよね。
現代邦楽は、私には難しいものもありましたが、田嶋先生と謙一君の、それこそ超絶技巧は圧巻でした。はんぱないです。いつもとはまた違う感動をしました。

さてさて最後はゆるです。
こちらもぶれがないんです。まったく違う意味ですが。
芸の企画が実に細かい。
だから、「わかって」ないと本当に細かいところはスルーしてしまう。
観る方も真剣勝負的なところがあります。
構えていないとはじかれる。けど随所で気を抜かしてもらえる。
そして気づけば結局涙流して・・・・・笑っているのであります。
出演者数もめちゃ増えています。大所帯です。謙ちゃんの体力が心配なぐらい。
それでも私たち観客は、お構い無しに抱腹絶倒。
ウケる~!って。
よい年越しになりました。

茅ヶ崎市民文化祭

11月1日、茅ヶ崎市民文化会館にて、演奏に参加してきました。

錦秋の会でご一緒した尺八の鈴木進さんが会員で、助っ人を頼まれたので。

会場は1200人入ると言う大ホールです。
とてもびっくりしたのが、楽屋の部屋数です。とにかく多い。各社中それぞれに部屋が持てるので、練習もできるし、ばたばたしなくて済みます。
そして、それよりもっとびっくりなのが、舞台の袖の広さ。
ここが舞台じゃないんですか?と言うほど広い。
わが人生で見た袖としては最大。

舞台進行は池上眞吾先生の父上の實(まこと)氏。
あらかじめ進行表と舞台配置図が、各社中に配られました。(實先生作です)
本番中はそれこそ舞台袖で一切合財指示してくださるのです。
舞台監督がすぐそばにいてくれるのは、こんなにも安心なんだと実感しました。

曲は「時鳥の曲」。筝2面に、尺八5人。音量のバランスがとても不安だったのですが、マイク無しということになっていました。
でも出番の直前、ホールスタッフが私のところに来て、マイクの手配をしましょうかと言ってくれて。
「バランスが悪かったらオンにしてもらえますか?」と聞くと、「そうしましょう」と。
本当にありがたかった。初めての会場だし、音響わかんないし。
会場のシステムとか、まったくわからないけど、ホール側からそんな申し入れをしてくれるなんて、感激です。
相方は佐藤光代さんでしたので、演奏についての不安はなかったけど、音量のバランスだけが気になっていましたから、本当に助かりました。

いろんな事にびっくりぽんの世界でした。

終了後、眞吾先生から演奏のご助言までいただき、感謝感激な一日でした。