もっと新しい世界

薄れていく 壁、山、嵐Vol.4

ある晩、利根君の夢を見ました。

自宅で一人練習をしている利根君。それをじっと見ている私。
利根君、途中でつっかえました。
すると、利根君いきなり大笑い!

本当に大きな声で「アハハ、アハハ」と楽しそうに笑って、そしてまた楽しそうに練習を始めたんです。

見ている私はショックを受けているという夢。

目が覚めても今見た光景が頭から離れませんでした。
私、お筝を心の底から楽しもうとしなくなっていたんじゃないかなぁ。
練習で間違えると、絶望的な気持ちになってしまう。
夢の中の利根君は、完璧に「前」を見ていた。
「次」だけを見つめていた。
「後ろ」や「過去」を見てなかった。
明るい気持ちになれる気がしました。

実は、昨年私が落ち込み始めたときから、利根君はずっと励ましてくれていました。この筝日記もよく読んでくれていて、ときどきその内容を引用してからかわれたりしていました。
暮れには何かのついでに私の名前入りの月謝袋が送られてきました。「ジョークですが」とメモ書きが添えられていたけど、発奮させようとしていてくれていたのは間違いないわけで。

お正月にも挨拶メールが来て、「春から出稽古に行きますから心のご準備を!」って。

それでもそのときの私は「うッ」ってしか応えられなくて・・・・・。

でも仕方ないかな。時間っていうか、タイミングっていうか、条件がきれいにそろわないと波長は一致しないものなんですね。

やっと今・・・2011年6月・・・心が動き始めた気がするんです。

薄れていく壁、山、嵐 Vol.3

今年(2011年)3月、宮城沖で地震が起きました。

これは、のちに「東日本大震災」と名前がつくほどの規模も被害も大きなものでした。
仙台にいるPONTAさんはじめ、萌ちゃんやなっぴさん、王子、みんなのことが本当に心配でしたが、全員無事だったことは、奇跡のようでした。

当時は連絡もとれず、気を揉むばかりでしたが、今ではライフラインも通り、精神的なことを除けば、ひとまず安心な状態になりました。

そんな震災の復興支援のため田嶋先生があちこちでコンサートを開いています。
横浜でもやるというので、聴きに行きました。
南区の南太田駅のすぐそばのお寺の本堂が会場です。
とてもすばらしいコンサートでした。

その本堂の壁に、

**** 悩むのは、あきらめていないから****

という言葉が貼ってありました。

笑ってしまいました。・・・・・自分を。

 

薄れていく壁、山、嵐 Vol.2

今までとは違う意味で涙が出るほど悩んでいたけど、お友達でジャズピアニストのケイサクさんに、「じっとしていなさい。何も考えず時間を待っていなさい」と言われ、前橋でボーカルの指導をしている関口先生からは「生涯ミュージシャンでいような」って言葉をもらったり。

でも意欲という力はそう簡単に湧いては来なくて・・・・。

ただ体の回復とともに、すこしづつ力んでいた気持ちがやわらかくなっていき始めました。

ある日、夫に「他のことやってみたら」と言われ、号泣している夢をみました。
???です。なぜ私は泣くんだろう。って。

薄れていく壁、山、嵐

悩んで悩んで。自分の演奏に対し自信も持てず。怖くて。でも、約束した舞台だけは、やり通さねばと自分を戒めていました。
2010年12月:三弦での演奏会
2010年12月:老人ホームのクリスマス
2011年3月:観梅会
2011年4月:湘南の春

苦しかったです。約束は守っているけど、「楽しく」とか「張り切って」みたいなわけではなくて、ひたすら、ちゃんと弾こう。間違えないように弾こう。今後お筝を弾かなくなるとしたら、最後は恥ずかしくないように演奏しよう。と、そればかり考えていました。

湘南の春の時、謙一君に「今日は元気なかったね。」といわれたので、悩んでいるんだと話したら、「そういう段階に入ったんだよ。そんなときは、『お筝を弾きたくないんじゃない。弾いてはいけないんだ』と思ったほうがいい」と言われました。弾いちゃいけなくても、どうしても弾きたいと思うまでは、楽器に触らないでいたほうがいいって。
「半年も悩んでんだよね」と言ったら、「軽い軽い。まだまだ」って。

なんか、気が楽になりました。

見たこともない壁、山、嵐 Vol.4 

ライブ以来、本当にへこみまくりました。
お筝に触りたくもない。
自分が嫌になって、引きこもりみたいな気分。人とも会いたくなく、外にも出たくない。
毎日、ボーっと過ごすばかり。
当たり前ですね。お筝を弾かないんだから、やることがない。
別のことをやってみようかとも思うんだけど、なんにも興味も持てない。

不思議なんだけど、必死になってお筝をやっていたときには英語の勉強したり、編み物したり、ゆたんを作りまくったり、ビーズにはまって、毎日のようにブレスレットやチョーカーを作っていました。
お筝を弾かない毎日に比べ、時間はなかったはずなのに。

今はとにかく、何の意欲も湧かない。

できなくて泣いたり、絶望的な気持ちになるなんてしょっちゅうだったけど、こんな風に、お筝をやめようかなって思いつめたのは初めてな気がします。夢も希望もないんです。

ひょっとして、私やりたいことを全部やってしまったのかもしれません。「夢」が、それ以上の形で全部実現してしまったのかも。
お筝以外の夢を持っていなかったのは誤算だったな。