もっと新しい世界

時(とき)

周りで何が起ころうと、時は来て、去って、また来て。
そして日常の雑多なことにまた巻き込まれて、どうしても独りになりきることはできないものです。
独りになるのも怖いことですが。

立ち上がれない気持ちなのに、いろんな関わりも断ってしまったのに、「錦秋の会」の日が迫ってきます。
この曲のため、パワー全開にしてたんですが・・・・・

その後のことは、その後に考えることにします。

今は、無心で「月しるべⅡ」に向き合います。

無題

利根君が、突然一人で逝ってしまいました。

レッスンのあった日から4日後のことです。

眠ったまま逝ってしまいました。

まだ30 歳にもなっていません。

あんまりです。

晴れていく雲、差し込む光Vol.2

1回目のレッスンのあと、練習しながらいろんなことを考えていました。

月謝袋まで送ってくれていたのに、こちらがその気になるまで半年以上かかってしまった理由。
答えを人に教えてもらうのはずるいんじゃないかって言う考え。
どっちにしろ素人なんだから、答え探しをしている時間こそが趣味の時間だと思ってきたんです。
いろんな会に所属する気がなかったのも、一人遊びでいいと思っていたからで。
でもその反面、私がしゃべる、「リズムのこと」、「音程のこと」、「間のこと」。
聞いている周囲の人にいつも「すごいねぇ」って言われてしまって、フラストレーションが溜まっていました。
それは、「基本の基」だと納得してくれる人がほとんどいなかった。

もちろん田嶋先生や謙一君はそれを理解しているから私の足りないところをどんどん注意してくれるけど、お筝をやっている人で理解してくれる人を心のどこかで求めていたのかもしれないんですよね。
そう思ってきたというよりは、利根君のレッスンを受けて気がついたんだと思います。
やっとやっと巡り合えた、みたいな。
素直な気持ちで聞けたのは、利根君の言葉だったからかもしれません。

本当に幸せだと思いました。

そして2回目のレッスン。
もちろん1回目以上に厳しく。私に弾かせながらその場で一音ごとに注意が飛びます。ついに、私の手がもつれにもつれ、二人で大笑いでした。
楽しかった。わくわくしました。何かが出来そうな気がしました。

「三弦も基本からやってみましょう」って。

嬉しくて飛び上がりそうでした。

8月のレッスン日も決まりました。楽しみで仕方ありません!

晴れていく雲、差し込む光

ってわけで、レッスン日を7月20日と28日に決定。

目下のレッスン曲は、8月に田嶋先生の錦秋の会(旧門下生発表会)に出す「月しるべⅡ」。

これも因縁めいているんですが、この曲、利根君が初演してました。DVDをいただいていたのに、ちゃんと見ていなかった。ごめんなさい。でも、まったくお互い知らず、同じものが好きだったのはやっぱり嬉しい。

そして、1回目のレッスン。
九州の五木村からの帰り、そのまま羽田から直行での来宅。
一通り弾かせてもらってからレッスン開始!

ひとつづつ分解して、必要な音、そのためのテクニック。どんな景色を作るか。等々細かく細かく指導が始まりました。
特に、出したい音が出せないところ。どうすれば出るか。
指使いも工夫はしているけど思ったとおりにならないなど悩みを相談しつつ解決に向け教えていただきました。

指導する方はみんな見えているから、こちらがすんなりできないと、どんどんエキサイティングせざるを得なく、両方で大汗。

終わって、夫と3人で食事に行きました。

「今の曲が終わったら、五段砧をやりましょう」って言ってくれました。古典も教えてもらえたら、すごく嬉しいと思っていたけど、こちらから言うのは申し訳ない気がしていたところだったので、むしろびっくりしつつ私は大喜びしました。

 

 

薄れていく 壁、山、嵐Vol.5

2011年5月、利根君が長谷検校コンクールに出場しました。
吼噦(こんかい)の三弦一人弾きで優秀賞受賞。
賢順賞を取ったときもそうですが、今回も受賞直後、「取りました!」ってメールくれて。
「精進します」って、最優秀ではなかった悔しさはあったかもしれないけど、やっぱ前向き。次なる目標を見ていたんだと思う。

「東京に帰ったらお祝いしようね」という話が延びて延びて。
やっと7月11日、お祝いディナーをすることが出来ました。
家が近いので、謙一君にも参加してもらって、横浜西口のアメリカンなお店(T.G.I FRIDAY’S)に集まりました。

大いに食べて飲んで、大盛り上がりの中、利根君が、「進藤さんに教えに行く」と言い出しました。
「忙しい中、時間がもったいない」とか「感覚が同じ同士だから意味がない」とか周りに言われたけど、利根君の決心はゆらぐことなく。そして、私も素直な気持ちで「今なら私がんばれる」と思えて、弟子入りが遂に成立してしまったのです。