その他

日記を休んでいた理由

2年くらい前から、真剣にお筝をやめようかなって考えていました。
独学の限界が来たかなと。
なにもわからずに、出来ずに、ただ「楽しい」だけではダメなんじゃないかと。
特に、湘南の春は有料なわけですし。
なんだか「何か」を裏切っているような気持に襲われ続けていました。
今までも「出来ている」と思っていたわけではないけど、「その時」、「やりたいこと」があったから、それに向かって一生懸命だったのです。

ところが、2年前、仲間の一人が亡くなりました。
大事な人でした。
そのショックから、急に目標を失ってしまったように思います。
そしたら急に、(というかやっと目が覚めたように)自分の無力さが明るみに出てきた感じになったんです。「彼女と一緒にやる」という大看板の後ろに自分の無力を隠してきたのかもしれません。

「目標」とか、「目的」がなくなると、なんだか自分のいる世界がモノクロになった感じがします。
簡単に言えば、なにをやってても「虚しい」みたいな。
自分がやりたいことがなんであるか。あるいはやりたいことができる力は身についているのか。考え始めると深みにはまって堂々巡りしてしまいます。

日常生活は普通に送っているし、コンサートも聴きに行っているし、何も変わっていないようだけど、自分の中では何かが欠け落ちています。
昨年の茅ヶ崎での演奏と、今年の湘南の春でお筝をやめようと決心しました。

そんなんですから、この「筝日記」なんて前みたいに書けるわけもなく・・・・・・
今、やっと自分の気持ちを書けるところまで来ました。

コノオハナシハ、ジカイニツヅキマス・・・・・・

若手三人組のライブ 於塩山

7月29日、田嶋謙一さん、澤村祐司さん、日吉章吾さんの三人による「古典の真髄への挑戦」と題した5箇所連続公演最終日として、山梨の塩山にて演奏会がありました。
長崎、福岡、山口、大阪は遠くて無理だったけど、最終日の山梨なら行けない距離じゃないね、と夫が言い出し、急遽聴きに行くことに。

会は夜なので、石和に宿をとり、半分は夏休み旅行も兼ねて。
まずはおいしいハム屋さんで昼食を食べ、ドイツビールを1杯あおり、途中、個性的なカフェに立ち寄り、コクのあるうまいコーヒーを飲み、宿に入って温泉に浸かり、夕食は塩山駅前の小さな食堂で馬刺しと馬のモツ煮の定食をいただき、サービスで山梨の桃までついて、と、まるで旅の完結に近い状態。でも、演奏会はこれから・・・・。

会場は、塩山にある旧高野家住宅、別名甘草屋敷(江戸時代に幕府に薬種として甘草を上納していたためついた別名)といわれている巨大な民家。

演奏された曲は、尾上の松、鶴の巣籠、虚空、千鳥、八重衣の5曲。

暑い夜でした。演奏者は本当に過酷を極めたと思います。なんせ、抜粋はしませんから、それぞれの演奏時間はとてつもなく長いわけで。しかもクーラーなんぞない中で、かれらは和服です。正しい姿ではあるけれど、辛くないわけはありません。

がんばりました。熱い、熱い演奏でした。
三人とも真に一生懸命だったと思います。

尺八は、全身全霊で呼吸をし、それをいかに丁寧に音にするものなのかを改めて見せ付けられた気がします。
お筝もあれだけの大曲になると、手の動きの細かさ、速さが尋常な状態ではありません。
お筝の幅は30センチ足らずですが、じっと見ていると、あまりにも手の動きが速くて、お筝が宇宙的に大きく感じてしまいます。
三弦に至っては、演奏者が汗だくな分、楽器も汗をかいているのだと思います。何度さわっても、ねじがいうことをきかなかったそうです。
そのうえ二人とも唄も歌っている訳で、こちらも全身全霊をかけての演奏。
真摯な演奏でした。

演奏そのものがどうだとか、冷静な感覚ではなく、瞬間瞬間の三人の思いや心情に呑みこまれ、演者と同じ感覚にさせられていく。場が一体化していくんですね。
いわゆる臨場感です。こちらの気持ちも絞り込まれていきます。演者と同じように揺れ、流れ、歌い、泣く。究極の一体感です。

それぞれ、演奏すればするほど更に高い目標を持つのだろうと思いますが、山梨の暑い夜、「今」の、「今日」の三人の熱い思いに圧倒されて、興奮で夜中になっても眠れませんでした。

映画の話第2弾 

少し退屈しているので、またまた映画の話です。

以前、人に勧められていた映画の再放送をなかなかやらないので、まったくもって不慣れなのですが、レンタルビデオ屋さんに行きました。まあ、大変。借り方もわからないけれど、それ以前に探し方がわからない。行き当たりばったりならどうということもないのですが、目当てのものがあったため、途方にくれました。

どうすることも出来ず、疲れたので店員さんに聞きました。
!!!!かわいいその店員さん!、題名を聞いただけで、一切迷うことなくそのビデオのある棚へまっしぐら!。そして、「こちらです」と一言。

「神」だと思いました・・・・・・。

てなことがあって、借りたビデオは4本。「敬愛なるベートーベン」、「楽理ショパン」、「にんじん」、「ぐーぐーだって猫である」。

まずは、ベートーベン。彼の人生のほんの一部分を切り取って、デフォルメしたものでしたが、印象的なのは、やはりクライマックスのコンサートシーン。観ている私も一緒に音楽を奏でているかのような興奮に包まれました。

次にショパン。私はショパンの甘い(?)音楽が好きになれないのですが、映画を通して「何か」がわかるのではないかと思って借りました。
思惑通り、自分の無知さを思い知らされました。
そのあとネットで彼の歴史を読みました。
映画はいろんなきっかけももたらしてくれました。

やっぱり、映画っていいです。

映画好き? 私は好きです

なんにもしていなかったわけではないのですが、書き込みもいっぺん怠けると、「やる気」の復旧に相当なエネルギーが必要です。
ここんとこ演奏会の話も、みんな後手後手になってしまい、更には時間がたちすぎて書き込みする意欲も失せがちです。

というわけで、何にもしないよりは!と思い、最近観た映画の話でも書いてみようかなと思い立ちました。面白かったもののみ書きます。

基本的には洋画が好きなのですが、5月に久々日本映画を観ました。
「駆け込み女と駆け出し男」。これまた大好きな井上ひさしの作品だったので興味をひかれて。

芸達者揃いだったと思います。脚本も演出も「井上ひさし」の世界観から逸脱していなかったように感じました。長台詞、細かすぎるくらいの描写、激しさ、せつなさ、ユーモア。
映画として作り手の感覚は絶対的にあると思うけど、嫌なところがなかった。抱腹絶倒しながら、涙ぐみながら堪能しました。観たあともっとこの世界に触れたくて原作本を買いました。

7月には「トゥモローランド」を観てきました。
ディズニー映画だけど、これはタイムスリップものが大好きだという理由で。

時間的に無理だったため、吹き替え版を観ました。
良い意味で、すべからく予想を裏切られました。・・というか越えられました。
考えもつかなかった、想像もしなかった展開が繰り広げられるのです。決して子供専用ではありません。大人でも、ちゃんとドキドキワクワクします。自分の想像を超えてしまっているので、結局映画の世界に気持ちが入り込んでしまうのです。映画って、どれだけ現実との境目をなくさせるかが勝負だと私は思ってて、そういう意味でホントにどっぷり浸かっていました。

タイムスリップもの。というのも違ってて、トゥモローランドという別の世界のお話でした。
しかし、やはり字幕で観るべきでした。ニュアンスが変わってしまいます。

数日後、用事があって車で出かけました。
高速道路を走ってて、ふと、私たち(昭和生まれ)は、すでにトゥモローランドに暮らしてるんじゃないかなと思いました。

次回は、「敬愛なるベートーベン」と「楽理ショパン」のお話を書こうと思っています。