薄れていく壁、山、嵐 Vol.2

今までとは違う意味で涙が出るほど悩んでいたけど、お友達でジャズピアニストのケイサクさんに、「じっとしていなさい。何も考えず時間を待っていなさい」と言われ、前橋でボーカルの指導をしている関口先生からは「生涯ミュージシャンでいような」って言葉をもらったり。

でも意欲という力はそう簡単に湧いては来なくて・・・・。

ただ体の回復とともに、すこしづつ力んでいた気持ちがやわらかくなっていき始めました。

ある日、夫に「他のことやってみたら」と言われ、号泣している夢をみました。
???です。なぜ私は泣くんだろう。って。

薄れていく壁、山、嵐

悩んで悩んで。自分の演奏に対し自信も持てず。怖くて。でも、約束した舞台だけは、やり通さねばと自分を戒めていました。
2010年12月:三弦での演奏会
2010年12月:老人ホームのクリスマス
2011年3月:観梅会
2011年4月:湘南の春

苦しかったです。約束は守っているけど、「楽しく」とか「張り切って」みたいなわけではなくて、ひたすら、ちゃんと弾こう。間違えないように弾こう。今後お筝を弾かなくなるとしたら、最後は恥ずかしくないように演奏しよう。と、そればかり考えていました。

湘南の春の時、謙一君に「今日は元気なかったね。」といわれたので、悩んでいるんだと話したら、「そういう段階に入ったんだよ。そんなときは、『お筝を弾きたくないんじゃない。弾いてはいけないんだ』と思ったほうがいい」と言われました。弾いちゃいけなくても、どうしても弾きたいと思うまでは、楽器に触らないでいたほうがいいって。
「半年も悩んでんだよね」と言ったら、「軽い軽い。まだまだ」って。

なんか、気が楽になりました。

『湘南の春』終わりました

今回は、ぎりぎりまでお筝の人数が一人足りなくて(Ⅰ筝2人にⅡ筝3人)、困った状態が続きましたが、最終的にゲストで出演してくださる渡辺由布子さんにお願することになりました。
曲数が多い中、快く引き受けてくださり、感謝感謝でした。

会全体も活気があり、とてもよい演奏会となりました。

私たちの「不思議見聞録」もみんながんばりました。
少々走り気味の感はありましたが、強弱など苦労した部分も、メリハリがついてよかったと思います。

東北の震災があったため、演奏会自体できるかどうか不安でしたが、少しでもお役に立てばと福島の野菜を提供していただいて、義援金を集めました。結構な金額になったようで、私たちもがんばっていてよかったなと思っています。


みなさんお疲れ様。

 

 

見たこともない壁、山、嵐 Vol.4 

ライブ以来、本当にへこみまくりました。
お筝に触りたくもない。
自分が嫌になって、引きこもりみたいな気分。人とも会いたくなく、外にも出たくない。
毎日、ボーっと過ごすばかり。
当たり前ですね。お筝を弾かないんだから、やることがない。
別のことをやってみようかとも思うんだけど、なんにも興味も持てない。

不思議なんだけど、必死になってお筝をやっていたときには英語の勉強したり、編み物したり、ゆたんを作りまくったり、ビーズにはまって、毎日のようにブレスレットやチョーカーを作っていました。
お筝を弾かない毎日に比べ、時間はなかったはずなのに。

今はとにかく、何の意欲も湧かない。

できなくて泣いたり、絶望的な気持ちになるなんてしょっちゅうだったけど、こんな風に、お筝をやめようかなって思いつめたのは初めてな気がします。夢も希望もないんです。

ひょっとして、私やりたいことを全部やってしまったのかもしれません。「夢」が、それ以上の形で全部実現してしまったのかも。
お筝以外の夢を持っていなかったのは誤算だったな。

 

 

 

見たこともない壁、山、嵐 Vol.3

全曲弾き終えれば、ライブは終わってしまいます。

終わってしまえば、あとはパーティーで盛り上がって。
みんな和気あいあいと楽しい時間を過ごして。

しかしそこから私の心身の苦痛は始まるわけです。

結局、左上の歯は全滅しました。歯医者に通い、高い治療代を払い、修復してもらうのに4ヶ月かかりました。

また、腕はマッサージでは治らず、整形外科で鍼治療をしてもらい、これは治るのに半年かかってしまいました。

体にこれほどダメージが来るのは、年齢のせいだけではなく、テクニックの基礎がないのも大きな原因だと思う。
誰かに習って、基礎練習をすれば少しは変わるかもしれないけど、どう転んでもたいしたことは出来ないんじゃないかな。
って思うと、なにをしたいのかさえあいまいになってきて。

基本的には、「習う」ことをせず、自分が思ったままを思うように追求することが楽しかったはずなのです。
でも、ライブを通して、「思うように」が形になっていないと自覚せざるを得ませんでした。そんなんで「人様」にきいてもらうなんて、重大な責任を感じます。
そんなことを考え込んでいて、しかも腕は痛いし、歯はガタガタだしで、実にへこむ材料しかなくなって、ついにお筝をやめようかなって思うようになりました。

とにかくすべてに自信を失ってしまいました。
今まで自分がやっていたことすべてに自信が持てなくなってしまった。
人より上手だとは思っていなかったとは思うけど、「自分」ってものがあったはずだった。今、それすらもなかったんじゃないかって思う。