1996年5月24日

1996年5月24日

北海道出身の男の子(熊川哲也)が15歳でロンドンに渡り、21歳でロイヤルバレエ団の主席ダンサー。24歳の今、バレエ団のトップにあると、テレビで紹介してた。
その子のレッスンは毎日10時間にも及ぶという。
歌舞伎役者の18歳の子も稽古は10時間だそうである。
プロの世界ってそういうもんだろうなあ、と思う。「自分自身の中」に目標があるからじゃないだろうか。自分に求めているものがある時、どんな練習も終わりは来ないんじゃないのかな。
どうなれるのか、どこまで行けるのか、全く予想もつかないし、今、何の活動もせず、人から与えられたものしかやっていないのだから、頭打ちかな、とも思うけど、なんか有りそうな、自分の中に何か有りそうな気がしている間は、やっぱり探していたい。凄く消極的なんだけど、商売上手にならなくてもいい。一生を掛けてやりたいのは、自分で自分の音が納得出来るようになることかな。
音楽なんて、凄く刹那的で、だからなんなんだよと言う最たるものだと思うけれど、その、瞬間に消えてしまう潔さが好きなのかもしれない。

****天才を造る方法
・ 目標は、手の届くところに置いて、少しづつ達成する度に上げていくこと
・ 動機は不純であること…カッコいいと思われたいとか、誉められたいとか。

…動機だけは不純なんだけどな…

「鯱の城」
「鯱の城」、結局定期演奏会に出すんだけど、一年前にやったきりだったのに、今弾くとあの時悩んだところが普通に弾けるようになっているんです。新たにテクニックも教えてもらったけど、どういう事なんだろう。一年間練習もしなかったのに。
何かが変わったんだとは思うけど、「いつ?」とか思ったりする。
2月頃小田さんと話ししてた時、去年「鯱の城」を2週間でよく上げたね、って話題になりました。
「私の頼みの綱は、だめだったら小田さんが断ってくれるだろうと言うことだけだった。」と言うと、「自分なら、あの段階では受けなかった」と言い出したんです。
8ヶ月もたって、と言うか、終わってしまってから何をか言わんやと言う感じなのですが……
結局無知である強みだろうと思う。
もし、自分の非力とあの曲の大きさを知識として知っていたら、できたかどうかわからない。
そんなこと言ってても、小田さんだって本当は断ったことはないのだ。それは無知だからじゃなく、「できる」と自分を信じているからなんだけど…。
今急に鯱の苦手なところが軽くなったと思ってるし、あのとき何も知らないから受けたけど、どちらも、つまり知らないうちの成長も、無知も、共通して言えるのはパワーが沸いてくる源になったということじゃないんだろうか。
固定観念を持っている時と無心ではなく有心でいる時は、パワーは生まれないのではないのかと。