その他

変化って・・・・

変化って、いつまでするんですかね。
終わりは本当にないんですかね。

というのも・・・・・・・。

私は自分大好きだから、寝るとき、自分の過去の演奏の録音を聞いているんです。
「頑張ったなぁ」と思う時もあれば、「ノリが悪いなぁ」と感じるときもあります。
が、基本、「楽しんで」きいていました。
不足を感じないわけではないけど、それはリズムだったり、音量だったり、テンポだったりでした。
それ以外、これといった疑問もなく。

ところが、先日、全く違うことに気づきました。
そんなの書くことさえ「恥」だとは思うのですが。

「音」、そのもの。
なんて軽々しい音なんだろうって。
薄い、透けて見えそうな音だと感じたんです。

「下手さ」の理由がもう一つ加わったというべきかな。
本当に驚かなきゃいけないのは、「今まで気づかなかった」ことのほうかもしれませんが。

やっと、やっと、聞こえました。
なぁんにもわかってなかったのかなぁ、やっぱり。

邦楽ジャーナルに載ったんだよ

3月から4月にかけて、7か所くらいの演奏会に行ってきました。その間に湘南の春もあり、今ちょいと休憩中。
4月半ばには邦楽ジャーナルさんから連絡があり、「アマチュアばんざい」のコーナーに私を取り上げたいとのこと。
特筆すべきものはなにも持っていないけど、「アマチュアで音楽を楽しんでいる」ことには間違いないので、お受けしました。
出来上がりを読んで、びっくりです。
とりとめもなく、雑談のようにおしゃべりしていた内容の要点(私にとって極めて大切なもの)を実に的確に感じ取ってくださり、それをまたギュッと凝縮した形で文章にしてしまう。
プロですねぇ。感動的ですよ。
「マジシャンのようです」とメールしたら、「残念ながらハンカチは出せません」
「舌を巻きました」との発信に、「バーローベランメイと巻き舌でおこられずに済みましたようで幸い」と、どこまでも洒脱です。
人生、長く生きてると、こんな楽しい出会い、出来事があるもんなんですねぇ。

おうちライブ Vol.7

さる2月28日、田嶋謙一さんによるおうちライブを行いました。
今回は邦楽ジャーナルのほかフェイスブックでもご案内したのでこちらでのご紹介をちょっと忘れてしまいました。

賛助出演は日吉章吾さん。
プログラムは、現代邦楽5曲。
萌春 瑞星 詩曲Ⅰ番 夏色のアダージョ 上弦の曲

当初の目論見をはるかに越え、30人のお客様。・・・20人予定でセッティングしていたため、家の中はビッシリです。
当日飛び込みのお客様も結構いらして、あわてました。

午後2時半演奏開始。
お箏も尺八も「本物」だなと思わされます。
厚く、熱く。息を呑みます。
日吉さんは、曲の佳境に入ると、一切のものを近づけないオーラを全身から放出します。その張り詰めた空気に圧倒されるばかりです。
勿論その時は田嶋さんも同じ状況にはいっているわけで、ものすごい速度で吹いているのです。
その迫力に聴いている側は酸素を奪われそうになります。
どの曲もゆったりと静かな部分もあるのですが、同じくどの曲も激しく盛り上がっていくわけですから、そりゃ聴くほうも背筋がのびます。

例によって、田嶋さんの軽快なトークも入り、随所で笑わせてくれながら、素晴らしい雰囲気の中進行していきました。
アンコールでは、とびきりのネタで、会場は大爆笑でした。

パーティーもおおいに盛り上がり、楽しい一日になりました。
出演者、お客様両方に感謝です。

邦楽四重奏団プレイズ

昨日(1月22日)、すみだトリフォニーホールに、邦楽四重奏団のコンサートを聴きに行ってきました。
洋楽器とのコラボで、下山一二三さんという作曲家の作品の演奏。
邦楽四重奏団の演奏する曲は、私ににとって、かなりハードルの高いプログラムばかりですが、今回は洋楽器とのコラボだったので、また毛色が違って聴く耳も変わるかなと思って。
演奏前にプレトークの時間があるというので、早めに現地到着。

企画の山本和智さんと下山一二三さんによるトークでした。
下山さんと言う人を存じ上げなかったのですが、青森県弘前市のお生まれだということに興味をそそられました。
作曲活動中、能の勉強をされたり、大鼓のレッスンに通われたりと、邦楽にも造詣が深い方でした。
鼓も先生にプロにならないかと誘われたほどの腕前らしいのですが、「邦楽」という枠にはまることを敬遠し、作曲活動に戻られたとか。
とても魅力的な方でした。1930年生まれ。現在86歳。かくしゃくとしていらっしゃいました。

20分後、演奏開始。
・・・・・やはり難解・・・・
ちょっと困った・・・・・

プログラム4曲目に「レクイエム津軽」と言う曲があり、尺八、バリトン、チェロ、津軽三味線のコラボとあったので、ひとまずそこに目標を置いて。
2曲目、3曲目とレベルの高い曲が続きました。
そして、いよいよ4曲目「レクイエム津軽」。

下山氏自身の作詞でもあるので、一部ここに書いてみます。

雪。雪。雪。雪。 (ユギユギユギユギ)
ぼだらぼだらと降ってくる雪。(ぼだらぼだらとふってくるユギ)
のそのそと降る雪。(のそのそとふるユギ)
夜でも日中でも降ってくる雪。(バゲでもシルマでもふってくるユギ)
地蔵様の頭コも(ジンジョサマのアダマコも)

天守閣もやまも川も。(てんしゅかぐもやまもかわも)
雪。雪。雪。(ユギユギユギ)
俺の額さも雪ァ降る。(ワイのナヅキさもユギァふる)
雪の花コ。花コの雪コ。(ユギのはなコ はなコのユギコ)
雪。雪。雪。雪。(ユギユギユギユギ)

弘前サ生まれで、弘前で生長テ。(シロサギサマレデ シロサギでオガッテ)
今ァ 東京ネ居る津軽衆一人。(いまぁとうきょうニァいるツガルシュヒドリ)
寒ぐて、凍れるバテ、(サビぐて シバレルバテ) 
きれいだ津軽の(きれいだつがるの)
雪コ。(ユギコ)
思い出しているノセ。(おもいだしているノセ)

後略

()内は発音です。津軽弁です。
これを朗々と深いバリトンで謳いあげる。
「ゆき」ではないんです。「ゆぎ」でなければ、北国の雪ではないんです。
全編津軽弁。方言のもっている魅力というのか、魔力というのか。私自身北国生まれだから感じるのか。特別な響きです。
いつしか、あのふるさとのしんしんと降り積もる雪の中に埋もれている自分がいました。

プレトークのなかで、山本和智さんが、こんなこともおっしゃってました。
「メルヘン」と言う言葉について。(うろ覚えなので、正確ではないかもしれませんが)
メルヘンというのはドイツ語だそうで。
この「メルヘン」という言葉は、どの国の言葉にも翻訳できないというお話。
ドイツにある、ある深い(であろう)森の中に独りたたずんだ時、恐怖のあまりふと頭の中に浮かんだ光景のみを「メルヘン」といえるのだというのです。
そこでしか、その場所でしか味わえない事象。感覚。
代替はないのです。
「ゆぎ」とおんなじです。

声とことばと尺八とチェロと津軽三味線と。気づかないうちに「コラボ」として、私の中で一体化してたと思います。

年明け早々~風邪菌君との格闘

急に風邪ひきました。
お正月ど頭の大きな仕事が終わって、4日後にダウン。
プシューって。電源とか、エンジンとか、いわゆる「落ちました~」って感覚です。

よく考えれば、前兆は随所にあったんでしょう。こっちが気づいていないだけなんですけどね。

朝食後、急に吐き気、腹痛の始まり。
2日後には、うちで湘南の自主練習。なんとか治さないとまずいんです。

ベットでじっとしていると、風邪菌君がどこにいるかわかります。
結構ちっこいんだけど、たんぽぽの綿毛みたいなやつで、毛の先端全部に、威力のあるカマみたいなものがくっついていて、私の胃の壁を削り取るような動作をします。
その時が「ギーッ!」って痛いわけです。

敵も一仕事終えると休憩に入るらしく、痛みはおさまり、私もうとうと。というのも、痛い瞬間は、耐えようとしてこっちも全身に力が入っているのでへとへとになってるんですね。

菌君は休憩を終えると、仕事を再開します。
さっきの壁はもう壊したので、当然位置は移動しています。
菌君の休憩が終わったことは、私には連絡がないので、うとうとの最中突然痛みが走るのです。
「フンギャー!」。

何分サイクルなのか最早わからないですが、それを繰り返すわけです。

そんな中、漢方薬があるのを思い出し、飲みました。

場所を移動しながら《ガリガリ》、「フンギャー!」の応酬を続けているのですが、菌君も漢方という大きな敵に阻まれ、ほんの少しづつではありますが、パワーが落ちていきます。
しかし、彼らも必死なのでしょう。《ガリガリ》攻撃をやめるわけではありませんから、こちらの「フンギャー!」も規模を縮小しながらも続いています。

時がたち、初めは胃の中にいた菌君が、やがて腸に突入です。
いいんですよ。いいんですけどね。物理的には始まるんです。体外に不要なものを排出する瞬間が。
《ガリガリ》・・「フンギャー!」・・「うとうと」・・「ジャー!!」。これは多忙を極めます。

頑張りました。20数時間の闘い。
死滅し、流れていったたんぽぽの綿毛のような風邪菌君。
色は白だったんじゃないかな。

一番すごいのは誰だったんでしょう。
風邪菌君か、漢方薬君か、はたまた私の肉体か。謎ですが、闘いは終わりました。

一抹の寂しさ・・・・は、ありません。