2001年3月2日

矢部氏の希望で「春の海」を弾くことになってしまった。

「私は、なにもできていない。なぜならこの曲が弾けないから」と思う曲の一曲だった。
私には大きすぎる曲だった。完璧じゃないならやらないほうがいいと決めていた。
否応なしに弾かなければいけなくなったのだが、客観的にみたら「だめだ」曲のひとつに今挑戦しようとしているわけで。

これはすごいことなんじゃないだろうか。
いつのまにこんな挑戦ができる度胸がついたんだろうか。

先生のところに通っていたのが通算7年。
現代曲を始めて6年半。
私の筝人生、正味13年半だ。

こういうチャンスがなかったら一生弾こうとしない曲だった。
自分をあきらめたままになる曲だった。

とにかく、悩みつつ練習を重ねた。
今日、急に音にエコーがかかったようになった。
またしても不思議なのだが、透明感のある音に自分でしびれた。
あきらめていた曲なのに、いつのまにか、とりあえず弾けるようになっている。
勉強って何だろう。どうして力ってつくんだろう。

みんなスラスラとできたのかもしれないけど、私は自分で自分に待ったをかけてきた。その壁をひとつ破った。
これは喜んでいいよね。